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≪ずつと、追いかけてゐるの…≫                                             遙かシリーズ二次創作ブログです。
2018/02/23 (Fri)09:28
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2010/10/16 (Sat)03:06
全然BLじゃないけど、葦原家と言い切れないのでこちらに…

今日は偶然友人と手芸店に行って来て、ミシンを弄ったりしたので載っけてみようかと(苦笑)
レース編みのキット買っちゃいました。
ずっとやってみたかったんですが…出来るかな?
編み物はそれなりにできるんですが…

家で先生と那岐がわちゃわちゃする話。
夏あたりです。

もしよろしければ続きからどうぞ。




別に、そういうことして欲しいわけじゃない。


だけど。



*彼女中心の何不自由ない生活の中で*



 夏休み、2日目。


朝から雨だ。

千尋は『折角のお出かけなのに~!』とか喚いて出かけて行ったが、家で寝て過ごす分には涼しくていい。

長期休暇は、朝寝をしていても昼寝をしていても早寝をしても、あまり干渉されない。


すごくいい。


今日も、千尋の大きな独り言を聞いたのは布団の中。
風早が一度部屋の前まで『朝ご飯ですよ』と呼びに来たが、『まだ寝たい』と言ったら、『置いておきますから、早めにね』とあっさり居なくなった。

少し眼が冴えても、無意味に寝返りを繰り返したりして。
眠りを誘っているみたいだと、自分でも思う。


一瞬でも長く、幸福が続くように。


僕はかなりそれを貪欲に願っているのかもしれない。


目を閉じれば、窓を雨が叩く音がする。
風も少し出てきたようだ。
千尋は今日は友達と映画だと言っていたけど…もう着いたかな。
服が濡れただの髪がぐちゃぐちゃだの、帰って来てから言わないといいけどね。

そんなことを考えていたら、どうにもお腹が空いた。
もうすぐ10時半。微妙だけど、食べるかな。


寝巻のまま下に降りると、今から聞きなれない機械音がしてきた。


 がちゃんっ。

  ピッ。

   キュゥゥゥゥゥゥゥン…


出してるやつは一人しか考えられない。


「…何してんの?」

「ああ、那岐。起きたんだね。おはよう」


今日は眼鏡をかけていない。
子供の好きな飴玉みたいな目が、ふよふよと笑っている。
そして、そいつの目の前で、勢いよく回転する物体。

軽くシュールだ。


「いや、だから何してんの」

「ん?ああ、下糸がなくてね。巻いてるんだよ」


少し型遅れのミシンが、テーブルの上にどんと居座っている。
180超の大の男が、休日に下糸を巻いているとか。


「どんな光景だよ…」

「いや、まぁこんな光景だけど…」

「返さなくていいから」


僕がそう言い終わったときに、ミシンが少し苦しそうな声を出した。
下糸のボビンが丸々太って、『もう巻けません!』とぷるぷるしている。
それを見た風早は、慣れた手つきでそれを止め、はずし、糸を切り、はめ、上糸を掛け替えた。


「そんなの、うちにあったっけ」

「おや、忘れちゃったのか。あったよ、昔文化祭のふたりの衣装とか、これで縫ったよね」


そういいながら、下糸を引き上げて、試し縫いをし始める。

何と表現したらいいのかわからない、機械的でそれでいて、田舎のローカル路線のような、不思議な音。


「いまさら何をするつもりなの?文化祭の予定はしばらくないよ」

「久しぶりに、何か作ってみたくなってね」


ただぼろ布を試し縫いに使っているのかと思えば、どうやら雑巾にするらしい。

器用なもんだ。


ふと視線を落とせば、真新しい雑誌が何冊も積み上がっている。
一番上を手に取れば、でかでかと踊るポップなタイトル。


『手作りしたい!可愛いチュニック&ワンピース』


「これ、どこで買ったの」

「学生協で」


同僚に何か言われなかったのだろうか。
昔から風早は時々よくわからない行動をとる。

ぱらぱらとめくると、モデルの女の子たちがポーズをとっているが、はっきり言ってよくわかんない。


「布はね、もう買ったんだ。那岐はどの形のが、千尋に似合うと思う?」


二枚目の雑巾縫いに着手しながら、ひどく幸せそうにこいつは聞いてくる。



つまらない。



女の子の服とか、興味も知識もない分野のことなんて、僕にはどうでもいいだけだし。

…なんて、不機嫌の理由をつける自分が、随分子供で、気持ちが悪い。


「…別に、あんたが決めればいいだろ」

「いや、那岐のほうが色々知ってるだろう?同級生の子の私服とか、街を歩く同年代の子とか」

「そんなのいちいち見てないし」

「でも、感性ってあるじゃない。10代の子の感性とか。センスって、言うのかな」

「僕そういうセンスないし」

「そうかなぁ。那岐はセンスあると思うけど」

「っていうか、千尋に直接聞けば?本人が気に入らなきゃ意味ないし、秘密のプレゼントでもないんだろ?」


だからもう僕に聞かないで。

そう拒絶すれば、目の前の馬鹿は、なんでもないように、


「ああ、まぁ、それもそうか」


なんて。

こいつにそんなつもりなんてない、被害妄想だってわかってる。

それでも、なんだか馬鹿にされたような気がして。


「じゃ、もういい?」


意味不明の苛立ちは、もうひと眠りして忘れてしまおう。

そう考えて立ち上がろうとした時、


「ああ、もうひとつ」


授業中に、要点をふと思い出したのと同じような調子で、引きとめられた。


「何。早くしてよ」

「そこの風呂敷包み、開けてみて」

「風呂敷…これ?」

「そう、それそれ」


目線で示された包みを少々乱暴に解くと、


「わっ」


中から反物が2本、転がり出てきた。


「那岐には、新しい浴衣を縫おうと思って…ホントは手縫いがいいんだけどね。那岐は、どっちの生地がいい?」


ひとりじゃ迷って決められなかった、と、機械音の向こうから聞こえた。


「…何無駄遣いしてんの。2本買うくらいなら、最初から僕に聞けばいいじゃん」

「だって、そうしたら那岐、『別にいらない』って言うでしょう?」


そう言われて、思わず押し黙る。

この馬鹿は、時折『ふたりのことはなんでもわかりますよ』と言わんばかりに、僕らの行動を予測し、的中させる。


「嫌ならまた考えるし…那岐が気に入れば両方縫ってもいいしね。それでも、取りあえず来月初めの縁日には間に合わせたいだろう?」


で、どっち?と飴玉のような瞳。

手を止めて、こちらを見てる。


「…別に、どっちでも」

「どっち?」

「……こっち、かな」

「那岐、意外と渋好みだね」

「うるさい」


手にした反物でぽこんっと馬鹿の頭を叩いて黙らせる。

すると結局、『こら』と鳴いた。


「そうだ那岐、朝ご飯」

「…あんたと一緒に、昼に食べるよ」


なんだか知らないけど、あんたがあと何枚か雑巾を縫い終わるくらいまでなら、その単調な作業を眺めていてもいい気分なんだ。




心の中だけで呟いて、僕は頬杖をついた。

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